ジャンル:日本小説
著者:小川糸
発行日:2008年1月
出版社:ポプラ社
同棲していた恋人に家財道具一式すべて持ち逃げされ、ショックで声までも失った倫子。
全てを失った倫子は、母との確執があるため長年離れていた故郷に戻り、予約制の小さな「食堂かたつむり」を開く。
熊さんの手厚いサポートと倫子の料理への思いにより、「食堂かたつむり」の料理を食べた人の人生に奇跡を起こしていく。
そして「食堂かたつむり」の料理を食べると恋や願い事が叶うと噂となる。
こうして食堂のお客様に料理を作って食べてもらうい喜んでもらうことに、倫子の傷もゆっくり癒されていく。
そんなある日、故郷での暮らしにも慣れてきたころ、母ルリコが末期がんであること、担当医が忘れられない昔の婚約者であったことが打ち明けられる。
田舎に帰る、食堂を開く、お客さん一人目、二人目と短編集のように区切りながら読めるため大変読みやすかったです。
「故郷の田舎で食堂を開く。」現実的に十分ありえる設定ですが、
読んでいる間、どこかふわふわしたファンタジーな世界にいるような不思議な感覚でした。
主人公の倫子が声を失っているため、あまり会話文はなく、日々の出来事が倫子目線で描かれ、倫子の考えや思いで完結。
小説間での会話の掛け合いなどがほぼないことに斬新さを感じました。
ちょっとありそうでない不思議な世界観が好き、さらっと読める小説が好きな20代前半の女性におすすめです。
逆に、
設定の深堀・考察が好きな方にはちょっと世界観がふわっとしているのでおすすめしません。
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